需要動向予測調査 合板の販売予測は減少も住設で改善 賃上げや価格転嫁の実施は7割超
ジャパン建材㈱(東京都江東区)は2024年10~12月期の需要動向予測調査結果を公表した。3000社に及ぶ同社取引先の販売動向や景況判断を示す調査で、読者工務店の経営判断にも役立つものといえる。
同調査では冒頭、国土交通省が公表した2024年6月までの新設住宅着工数に触れた。持家は31カ月連続の前年同月割れとなっており、依然として戸建住宅の不振が続いている。
このような情況下において同社がまとめた需要予測の調査結果は、工務店が▲27・4ポイント、販売店が▲32・3ポイントと共に高い水準でマイナスとなっている。ただし、4~6月期を底として「緩やかではあるが改善傾向となっている」とした。
地域別では引き続き四国でマイナスが大きくなる見通しだが、甲信越や北陸・中部、中国などでは、前回調査から改善していることが見受けられる。
同社は資材価格や人件費など様々なコストアップを背景として、制度・法令の改定も目前に迫っている足元の状況を指摘。「今まで以上に住まい手側での高気密高断熱や耐震化などへの関心が高まってきている。今後は更に住宅性能を高めた資産価値の高い家づくりへ積極的に取り組むことが求められる」とコメントした。
主力メーカーの販売予測は、「合板」の「減少」予測が増加した一方で「木質建材」、「窯業・断熱」、「住設機器」は前回調査から改善しており、特に住設機器では8割以上が前年並み以上の予測となった。同社は「リフォーム需要の堅調さが伺える」としている。
今年は全国各地で記録的な猛暑が続いた。4月からは職人の労働規制がスタートしたこともあり今年の夏はとりわけ現場の負担が大きかったと推察される。
そこで企業での暑さ対策についてきいた。約75%で行われている結果となったが、職場での断熱改修や機器交換は少ない。事務所を木造の高断熱・高気密建築とする事例が注目されつつあるが、労働環境の改善が求められる。
人材確保への対応については、計画通りの採用が出来ている企業は1割に留まっており、約35%の企業において人材採用での苦戦が明らかになった。
また、最低賃金の上昇が続く中、人材確保の観点からも社員の賃金体系の見直しが重要になってきている。賃上げを実施した企業は74%と多くの企業で見直しが進められている事が分かった。
一方で、賃上げの原資にもなり得る商品への価格転嫁は76%の企業で見られたが、残りの企業では価格転嫁が出来ておらず、賃上げへの未対応企業とほぼ同数の結果となった。
【日本住宅新聞9月25日号より一部抜粋】