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既存不適格建築物の増築等を円滑にする新ルール策定

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 国土交通省は12月6日、「既存建築物の確認審査等の円滑な運用について(技術的助言)」とする文書を通達した。この中で検査済証の交付を受けずに建築された建築物の増築等に係る確認審査等の運用について言及。「検査済証が交付されていないことのみをもって、直ちに、当該工事に係る建築物に対して特定行政庁による違反建築物に対する措置が必要であると判断されるものではない」とする考えを示した。
 これは住宅局建築指導課長の名前で各都道府県の建築行政主務部長宛てに出されたもの。既存建築物の確認審査等の円滑化、既存建築ストックの有効活用を促進するための技術的助言を行っている。内容は①既存建築物の現況調査ガイドラインの公表、②検査済証の交付を受けずに建築された建築物の増築等に係る確認審査等の運用について――の2つ。
 現在、既存建築物は増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替(以下まとめて「増築等」)を行わない既存部分も併せて建築基準法令の規定に適合しなければならない。また、建築基準法令の改正、都市計画の変更等により、規定に適合しなくなった既存不適格建築物の増築等を行う際にも、現行の規定への適合を求められる制度となっている。
 一方、既存不適格の建築物を現行の規定に適合させようとすると、手続きや指導などによって建築主の負担が過大になってしまう。そのため、一定の範囲内の増築等を行う場合には、既存不適格を継続することを認める緩和措置を設けている。
 今回公表された①では「増築等」をする場合、建築士が当該建築物の建築基準法令の規定への適合状況を調査できるよう整理。手順、方法等をまとめている。さらに、既存建築物の緩和が適用されることの確認方法並びに確認申請における活用を想定した現況調査報告書の作成方法を示した。
 なお、同ガイドラインの公表に伴い、「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」(平成26年7月2日付国住指第1137号により通知)は廃止。ただし、令和7年3月31日以前に旧ガイドラインに基づきすでに開始されている法適合状況調査については従前の取扱いによることができるとした。

検査済証なしの建物増築にも対応

 また②では、建築主が工事完了後に完了検査を受けず検査済証が交付されていない場合でも、直ちに違反建築物として措置を講じる必要はないと各都道府県の建築行政主務部長に向け説明。建築基準法令の規定に適合していない部分があっても、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関による建築確認・検査を受け、当該部分を含む全体を適合させるための増築等を行うことは可能とした。
 この他、同省は上記に加え「既存建築物の緩和措置に関する解説集(第1版)」を発刊。既存建築物の緩和が適用される代表的なパターンをまとめている。

【既存建築物の現況調査ガイドライン】
001847401.pdf

【既存建築物の緩和措置に関する解説集】
001847403.pdf

【日本住宅新聞12月15・25日合併号より一部抜粋】

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