既存ストック改修と新築供給のバランスは

来年度から始まる補助金の動向を知るために重要な資料である「国土交通省予算概算要求」が発表された。同省の中の組織で工務店に関わり深い「住宅局」が示した資料によると、今年度も実施した「住宅・建築物省エネ改修推進事業」の予算が来年度、拡充方針となった。
同事業の方針をみると、省エネ改修にかかる交付額は変わっていないが、支援する対象について新たな記載が確認できる(図)。それが「長寿命化」、「子育て」、「防犯」だ。
これらは住宅改修について新たに対象とする要素であるが、ストック住宅の活用が重視される情勢の中、業界関係者からは「時期尚早だ」との声も挙がる。
その背景にはストック住宅の「質」がある。確かに、既存ストックの活用は、資源循環や地域の持続性の観点から重要な政策方針である。
しかし、現実には築年数が古く、構造・断熱性能・設備面で現代の居住水準に達していない住宅も少なくない。とりわけ耐震性や断熱性に課題を・・・
【日本住宅新聞2025年9月15日号より一部抜粋】