トップランナー制度に新たな基準

国土交通省と経済産業省は6月3日、建築物の省エネ基準に関する2省合同会議(座長=田辺新一早稲田大学理工学術院創造理工学部 教授)を開催。当日は①中規模非住宅建築物の省エネ基準の見直し、②住宅トップランナー基準の見直し――の2点について議論を行った。
令和3年10月に開催されたエネルギー基本計画では「2030年度以降新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」としている。その上で整合的な誘導基準・住宅トップランナー基準の引上げ、省エネルギー基準の段階的な水準の引上げを遅くとも令和12年度までに実施する方針だ。
同合同会議は、こうした住宅・建築物の省エネルギー性能等に係る基準を整備する必要があることから、これについて検討を行うもの。今回の会議で②については制度の見直し基準案が事務方より発表された。
改めて「住宅トップランナー制度」とは、省エネ性能の高い住宅の普及を促進するための制度だ。具体的には年間に一定戸数以上の住宅を供給する大手住宅事業者に対し、市場で流通する住宅よりも高い省エネ性能の目標を設定。その達成を促すことを目的としている。
現在、建売戸建住宅、注文戸建住宅、賃貸アパート、分譲マンションの4区分が設けられており、それぞれ外皮基準と再生可能エネルギーを含む一次エネ基準BEI、目標年度が定められている。同制度についてはすでに令和3年8月に行われた「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」で基準の見直しを行う本心が示されていた。
今回、事務方より発表された見直し基準案では、令和9年度を目標に建売戸建住宅・注文戸建住宅・賃貸アパートで当該事業者が供給するすべての住戸が、ZEH基準に適合する方針を提示。加えて一次エネルギー消費量にも新たな基準を設定している。具体的には再生可能エネルギーによる自家消費量を除いた「平均BEI」で注文戸建住宅が0・75、建売戸建住宅と賃貸アパートでは0・80以下という基準が示された。
【日本住宅新聞6月25日号より一部抜粋】