高年齢者が活躍する企業を表彰
厚生労働省は、「令和6年度高年齢者活躍企業コンテスト」の入賞企業を決定したと発表した。同コンテストは、高年齢者雇用の重要性について国民や企業などの理解の促進と、意欲のある高年齢者がその能力を十分に発揮して働き続けられる職場づくりに関するアイデアの普及を目的としたもの。
有識者をはじめとする審査委員による審査の結果、㈱植松建設(佐賀県鹿島市)が「厚生労働大臣表彰最優秀賞」に選ばれた。同社は昭和8年に植松組として創業。土木工事、建設工事、とび、土工工事、舗装工事などを営む。従業員数40人のうち、60歳以上が10人(25・0%)。60~64歳が6人、65~69歳が2人、70歳以上が2人で、最高年齢者が現在75歳となっている。定年年齢はなく、 継続雇用制度もない。
今回、同社の多くの取り組みが評価されている。例えば、病気や介護・出産・子育てなど、本人の申し出に応じて柔軟に勤務形態を変更する制度を導入。これにより職場の定着や離職防止に繋げた。加えて、より風通しの良い職場環境を醸成するため、組織活性化プロジェクトを立ち上げ、定期的に社員の意見や提案を引き出している。
また、資格取得費用を会社が全額補助し、積極的なスキルアップを推進。この他にも、高年齢社員と新入社員をペアにし、仕事の指導役及び、技能伝承の役割を担うことで、高年齢社員のモチベーションアップに寄与している。
建設業向けアプリケーションツールの導入にも積極的だ。同社では社内のスケジュール管理だけでなく、重機の予定管理・案件のデータ・写真・動画共有と進捗管理・社員間のチャットなど、業務に幅広く活用。もちろん高年齢社員にも浸透している。
さらに、腰痛予防や身体負荷の軽減のためにアシストスーツの導入を進め、熱中症予防対策として各社員が自分に合った対策を取れるよう、熱中症対策費を支給している点も評価された。
最近では、地元の耕作放棄地の有効活用のため、2023年に農業法人を設立した同社。建設現場の高年齢社員の受け皿として、「建設現場と農作業を行き来しながら仕事ができる」、「建設現場から徐々に農作業へ無理なく移行していける」職場環境づくりを目指している。
【日本住宅新聞10月5日号より一部抜粋】