建設埼玉第56回定期大会 厳しい情勢乗り越え、魅力ある建設業を
建設埼玉は5月27日、さいたま市の大宮ソニックシティで第56回定期大会を開催した。組合員や代議員に加え、国会議員、県会議員、市会議員など多数の来賓が集結。建設業界を取り巻く厳しい状況下にあって、改めて団結と、魅力ある業界の構築を誓う意義のある場となった。
建設埼玉は同県内で建設業に従事する職人やその家族が安心して安全に仕事ができるようサポートする組合だ。1949年に設立され、1970年には自前の国民健康保険組合を設立・共済制度を確立するなど、76年間にわたって組合員の福祉向上に努めてきた。現在、埼玉県内に28の事務所を開設、約1万6200人の組合員を誇る組織となっている。
冒頭、岡崎年市副中央執行委員長が昨年群馬県安中市で開催した大会で、組合員と家族が安心して暮らせる制度の拡充を目指す方向性について意思統一をはかったことを再確認。代議員に対し、この一年間を振り返って感じたことや来年度に向けた提案・要望を積極的に発言するよう呼びかけた。
また、宮前守中央執行委員長は建設業界を取り巻く情勢と組合の成果について報告。まず昨年1月に発生した能登半島地震に同団体から21名、その後9月に発生した集中豪雨で10名が応急仮設木造住宅建設に従事したことを紹介するとともに参加者に感謝の意を示した。
さらに国内外の話題について論評。海外では戦争や紛争、トランプ政権の「アメリカ第一主義」による混乱が続き、日本国内でもこのような動きにあおりを受ける形で物価上昇が続いていると指摘する。加えてインボイス制度の施行や社会保険の適用拡大・上限引き上げの検討など、組合員の生活と仕事に影響を及ぼす課題が山積していると切り込んだ。
こうした中、昨年、全国の仲間とともに持続可能な建設業の実現に向けた取り組み「100万人国会請願署名」について言及。参議院で「建設労働者の雇用改善・担い手確保育成に関する請願」が採択されたことについては「歴史的成果を挙げた」と強調した。特にこの請願の趣旨は改正「担い手3法」(建設業法、品確法、入契法)に反映されたことから、今後は同改正法に基づき、適正な見積もりや工期、賃金の確保を実行させていかなければならないと訴える。
この他、建設国保の新規保険証発行停止やマイナンバー保険証への一本化が進む中、保険証・資格確認書の存続運動を継続する方針を提示するとともに2025年度に「建設埼玉アプリ」を導入する計画を発表。同アプリは組合員の利便性向上と経費削減を目指す新たな取り組みとして、理解を求めた。
最後に宮前委員長は、代議員に5年後、10年後の建設埼玉の在り方について意見を募集。その上で厳しい情勢を乗り越え、魅力ある建設業を共に築こうと力強く宣言した。
【日本住宅新聞2025年6月5日号より一部抜粋】