(一社)耐震住宅100%実行委員会 構造計算した耐震等級3の住宅 アーカイブするサイト開始
地震で人が死なない家や町を作るという理念をもとに活動する(一社)耐震住宅100%実行委員会は9月10日、東京都内で第7期定時社員総会を開催し、事業報告や今期(第8期)の事業方針について明かした。
同法人はワーキンググループ(WG)での活動を通じて品質の高い耐震住宅の普及に関する活動を進めている。2020年には㈱エヌ・シー・エヌ(東京都港区)と共同開発した「木質耐震シェルター70K」を商品化した。
そこで「総合技術開発WG」は同商品を公共施設に展示するなどして、耐震化の新しい選択肢を提案。高齢化が進む地域では家を継ぐ人がいないことから耐震化は必要ないと判断する住まい手もいる。家全体を耐震化すると多額のコストがかかるためだ。
そこで住宅の一部を耐震化するという提案を進め、地元のテレビで耐震シェルターが取り上げられるなど普及が進んだ。
実際に愛媛県伊方町では令和5年度の耐震シェルター補助金予算が40万円だったが、令和6年度には1200万円に拡充。耐震シェルターの普及推進を図っている。
同法人の担当者は「日本全国様々な場所に耐震シェルターを展示させていただいている」と説明。今期は196団体以上の会員とともに耐震シェルターを通じた「命を守る」プロジェクトを推し進めていく。
「新耐震基準策定WG」では独自の推奨基準「耐震100推奨基準」を提唱している。過去発生した大地震の地震波によるシミュレーションをもとに、倒壊しない住宅を造るには「確かな構造計算を実施した耐震等級3相当の住宅が必要」とみる。
今期は建築基準法改正による壁量基準の変更に伴って再度シミュレーションを実施する。能登半島地震の地震波も考慮する。
さらに、こうした基準で建てられた住宅の設計図書を保存したり、登録書を発行するためのサイト「TAISHIN 100 Standards」が9月にオープンした。今期はこのサイトに物件を登録するフローを整備していく。
「安心R住宅普及促進WG」では中古住宅のマイナスイメージを払拭し、流通を促進するための取り組みを行っている。「安心R住宅」は国土交通省の告示による制度であり、国が定めた要件に適合することを表示するロゴマークでもある。現状国土交通省が認定する団体は13団体のみであるが、その中の1団体が同法人である。今期は他団体との連携も検討していく構えだ。
「耐震普及啓発WG」では同法人の基本理念である「地震で人が死なない家づくり」を広めるため「確かな構造計算を実施した耐震等級3相当の住宅」の必要性を広める。今後はサイト「TAISHIN 100 Standards」に登録される物件数が現状約8300件となっているが、これを2030年までに1万件へと伸ばしていく。
【日本住宅新聞9月15日号より一部抜粋】