㈱AQ Group 独自構法で高耐震・大空間住宅を全国へ 2030年までに2万戸の受注めざす 第1回フォレストビルダーズ総会
㈱AQ Groupは1月23日、東京都内で第1回フォレストビルダーズ総会を開催した。フォレストビルダーズとは戸建て住宅向け構法「AQダイナミック構法」や4階建て以上の中大規模木造建築向け構法「木のみ構法」を利用して建築をつくる建築事業者の総称だ。両構法は同社のオリジナルとなる。
AQダイナミック構法を使って住宅を作る事業者は、住宅ブランド「AQハウス」や「AQ分譲」などを手がける同社事業部だけではなく、フランチャイズ(FC)の加盟組織「AQURA HOME FC」や「AQビルダー」も含まれる。
同様に木のみ構法を使って住宅を作る事業者は、同社内の専門事業部「中大規模木造部」や「リーシング事業部」だけではなく、ボランタリー(VC)の加盟組織である地域ゼネコン「AQフォレスト」も含まれる。
同社ビルダーサポート部の堀野雅人部長はフォレストビルダーズでの活動を通じて両構法を「積極的に推進しながら全国に広め、価値ある木造建築を全国へと普及させていく」とした上で「地球環境にも貢献していくことを目指す」と今後の目標について語った。
2024年におけるフォレストビルダーズ全体の受注実績戸数は3201戸だった。2025年の受注戸数は4000戸を目標として掲げており、2030年までに2万戸を受注する構えだ。また、加盟組織はFC/VC含めて26社となっているが、これは「早期に」(堀野部長)100社へと増やすとしている。
組織拡大戦略の足がかりはブランド力の強化だ。両構法のブランドを広報活動によって世間に広めていく。1月1日から地上波で放送しているテレビCMの他、これに紐づいたのぼりなどの販促物も活用する。ブランディング戦略が同時にFC/VCの集客促進につなげられる。
知名度を早期に拡大するうえで、まずは住宅向けのAQダイナミック構法を全国に広める点を堀野部長は強調する。AQダイナミック構法は純木造8階建てビルの開発過程で生まれたオリジナル構法で高耐震と空間自由度を両立している。
空間自由度は壁や柱の本数を減らしても高耐震が担保できるかが重要だ。同構法では国土交通大臣指定性能評価機関で実証済みの耐力壁を採用しており、これを外周部に配置することで高耐力が発揮できるようにようになる。
基礎にも特長がある。外周部の立ち上がりの厚さは建築基準法の規定より厚い180mmを採用し、鉄筋の太さは建基法の1・3倍としている。このほか水平構面の強さにも特長があるが、堀野部長は「どれか一要素だけを切り取って成立する構法ではない」、「様々な構成要素が相まってできていく構法だ」と指摘する。
大空間の指標には一般的に柱芯間の距離であるスパンが用いられる。最大スパンは8P飛ばしが可能だ。8Pは約7・2mとなる。従来の木造軸組構法に取り組んできた工務店の中には「柱がないと怖い、壊れると思い込んでしまう方が多い」と同社商品・技術部の塚谷誠部長は明かした。
そこで、同社では過去5回にわたり、実物大耐震実験を実施してきた。実際に発生した地震だけではなく、今後起こることが想定される大地震をシミュレーションして加振し、建物への損傷が起きないことを実証してきた。
塚谷部長は「スパンが飛んだ建物でも安心安全だということを伝える場も多く設けている」と話した。従来の建築ではあり得なかった住宅の形に対する工務店の思い込みを取り除くのも、同社における今後の課題となりそうだ。
工務店を取り巻く昨今の市況は4号特例の縮小など法改正への対応によって大きな変化を迎えている。背景には建築技術の高度化によって構造の観点から木造建築が特別扱いされなくなったことがある。中大規模建築などで多く用いられてきたRC造などと木造が対等にみられる時代に突入するともいえるだろう。木造住宅にはRC造と同様にさらなる技術の高度化を図っていく必要がある。
こうした中、同社がこれまで培ってきたノウハウを活かして時代に合わせた独自構法を提案している。宮沢俊哉代表取締役社長は「好機到来だ」と打ち出し、総会に出席したフォレストビルダーズに対して「中大規模木造建築の復活と木造住宅の高度化におけるパイオニアに我々はなっていこう」と呼びかけた。
【日本住宅新聞2025年2月5日号より一部抜粋】
画像:総会に登壇する宮沢俊哉代表取締役社長