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業界動向 被災後も住み続けられる耐震性能を

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 耐震・地盤関係のメーカーに取材をすると、一様に「問合せが増加している」との声を聞くようになった。年始に発生した能登半島地震の影響と思われる。
 これまでに大地震と呼ばれる災害は複数回発生してきたが、その度に国民の耐震に対する意識は高まってきただろう。
 これに合わせて工務店が新築する住宅の性能も向上してきた。しかし、「向上」では足りない。住まい手が亡くならず、被災後も住み続けられる家が求められている。
 耐震だけではない。断熱性やこれに伴う省エネ性能など家づくりに求められる要素は増えている。一方で、こうしたニーズを受け止める工務店には今までにない厳しい時代が到来している。

需要不足でも
続く人手不足

 少子高齢化による持家着工戸数の減少や、為替円安、中東情勢により混乱する国際流通、そんな中でも最も現場から聞こえるのは人手不足だ。建築の需要が弱まっているにもかかわらず、人手が足りないのだから、その深刻さがうかがえる。
 地場で補修・修繕などの工事を手掛ける工務店の業界団体に対して、定期的な取材を行っているが、仕事が取れなくて困っているという話は聞かれない。

集客の課題
その先には

 ただし、新築を専門としている工務店は別である。
 業界では集客への課題などが叫ばれている。案件を獲得するための見積もりや図面の作成業務は大変な労力がかかる作業である一方、その案件が獲得できるとは限らない。
 目下の課題として集客に注目するのだろうが、これからの時代は集客が成功した後にも問題が横たわる。
 職人に対する残業規制などによって建築期間が伸びていく可能性が業界で指摘され始めている。
 木造軸組工法であれば早くて3カ月、概ね6カ月で着工から竣工までこぎつける。しかし、この期間が7カ月、8カ月とこの先、伸びていくと言われているのだ。
 工務店が資金を回収するのは着工、上棟、竣工のタイミングである。そのタイミングが後ろ倒しになっていけば手元に用意できる現金が不足していく可能性も考えられる。
 手元に現金がなければ支払いが行なえない。状況が悪化すれば帳簿上は黒字にもかかわらず、経営破綻を起こす「黒字倒産」となる。
 今の時代にも職人の手間を軽減するための「省施工性」は各メーカーが積極的に取り組んでいるところだが、より一層その注目度は高まっていくだろう。


【日本住宅新聞5月15日号より一部抜粋】

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