改正前の駆け込み着工受け、対前年度比で増加

国土交通省が4月30日に発表した令和7年3月分建築着工統計調査報告によると、全体で前年同月比39・1%増加した。建築基準法及び建築物省エネ法改正を前にした駆け込み着工が発生したものとみられる。具体的には持家が同37・4%増、貸家は同50・6%増と大幅な伸びを示した。分譲住宅も全体で同22・8%増。このうちマンションは同20・4%増、2年以上マイナスが続いていた一戸建住宅も同23・3%増と実に29カ月ぶりで増加した。
持家については改正を前に着工を前倒ししたという声が一部事業者からあったと同省職員。その上で「物価上昇、資材価格高騰を受け、消費者マインド低下による影響が引き続き見られる。事業者からは需給について引き続き低水準にあるのではないか、と懸念する声も聞かれる」と報告された。
また構造別では、「木造」が5万1519戸、前年同月比は44・7%増で2カ月連続の増加。工法別では、「軸組木造」(在来工法)が3万8978戸、同比は44・1%増で2カ月連続の増加となった。「プレハブ」が8235戸、同比9・9%増で先月の減少から再びの増加。「2×4」が1万1252戸、同比45・9%増で2カ月連続の増加だった。なお、3月の着工については4面の関連記事も参照頂ければ幸いだ。
この他、令和6年度計についても発表。新設住宅着工戸数は81万6018戸(同2・0%増)だった。持家、貸家が増加し、分譲住宅が減少。全体では3年ぶりの増加となった。
令和6年1~12月の「令和6年計」は前年比で減少だったが、令和6年4~翌3月の「6年度計」では増加に転じた形だ。その理由として、着工戸数を見ると、対前年同月比でマイナスだった月は計9カ月あったが、その減少幅は同0・2~6・7%程度。特に大きく減少した令和6年3月の同12・7%減が集計範囲から外れたこと、令和7年3月の増加が全体を増加に押し上げた形で、法改正前の駆け込み需要が、この転換に大きく寄与したものと言えそうだ。
【日本住宅新聞2025年5月15日号より一部抜粋】