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木材のカスケード利用と超厚合板

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 日本合板工業組合連合会(日合連)は5月9日、令和6年度通常総会・理事会を東京都内で開催した。今年は改選期に当たる年だったが、井上篤博会長、副会長がともに再任。引き続き同体制のもと国産合板の需要拡大などに取り組んでいく方針が示された。
 日合連は合板製造業にかかわる全国的な中央団体として、合板産業の発展を図るために必要な各種事業を行っている組織。現在は「東北合板工業組合」、「東京合板工業組合」、「中日本合板工業組合」、「西日本合板工業組合」の4地区組合から構成されている。
 当日、あいさつを行った井上会長は、日合連として合板用原木の安定的な供給を受けながら、それを確保していくことが非常に重要になってきていると発言。現在、合板用の原木に限らず、バイオマス発電、製材、CLT、LVL、また集成材と、様々な木材製品が国産材の使用量を増やす取り組みを見せている。こうした中、国産材のユーザー間で安定的に確保するための施策が必要と指摘した。
 具体的には、A級材からD級材まで使用用途や樹種、含水率、形状といった木材の特長を理解した上での「カスケード利用」が重要だと話す。カスケード利用とは、木材を原料やエネルギーとして用途を変えながら多段階的に利用すること。木材資源を繰り返し有効利用することで、木質部 分における炭素貯蔵効果が持続されることから、地球温暖化の抑制に資するなどのメリットが見込まれている。
 井上会長は「カスケード利用を徹底することが国産材の高付加価値化につながり、次の再造林の原資になる。こういう循環を作り上げていきたい」と期待を見せた。
また現在、合板製造における国産材比率は90%を超えており、400万㎥以上の活用が可能だ。一方で我が国の森林・林業施策の基本的な方針等を定める「森林・林業基本計画」において、合板用材の国産材利用量目標は7百万㎥の達成が求められている。
 こうした中、井上会長は現状でも500万㎥程度までなら活用が見込めることを説明。その上で、さらに200万㎥を活用するためには、従来の厚物合板よりも厚い「超厚合板:CLP(Cross Layered Plywood)」の製品開発や、JAS規格の改正などの取り組みが必要となる認識を示した。
 現在合板は50㎜までJAS基準が存在する。井上会長は、今後100㎜、200㎜といった厚さまでJAS化を達成できれば、木造住宅の強靭化につながる他、中高層ビルにも利用されることが見込まれ、炭素がしっかりと貯蔵できるような建物が出来上がることから2050年、カーボンニュートラルに向けて、大きな前進ができるとした。

【日本住宅新聞6月5日号より一部抜粋】
画像:CLPに期待を見せる井上篤博会長

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