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㈱タナカ 地震時に震度と建物の歪み計測 クラウド経由で工務店と建主に共有

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 金物メーカーの㈱タナカ(茨城県土浦市)は地震発生時に建物の揺れや歪みを測定するスマートモニタリングシステム「家コネクト」を開発した。10月24日には土浦市と災害協定を締結し、自治体として全国で初めて指定避難所の公民館8拠点に同製品を設置。住宅市場への展開は2025年春頃を目処として、準備を進めている。
 家コネクトは一般的な木造二階建て住宅であれば1階部分にセンサーを2カ所設置することを推奨する。
 地震発生時にはこれらが揺れの大きさや住宅の歪みを測定。その結果がクラウドに送信され、スマートフォンやパソコンなどで見られる仕組みだ。
 従来、地震発生時に住宅の損傷度合いを知るためには工務店が現地に赴くしかなかったが、すぐに工務店が地震による住宅の損傷度合いを把握できるようになる。
 損傷度合いは住宅躯体が1階と2階でどれだけズレたかを示す層間変形角([rad])で表す。一般的には1/200[rad]が基点となっており、例えば地震後の層間変形角が1/150[rad]などとなっていた場合は躯体が損傷している可能性が高い。
 震度も計測する。気象庁が発表する震度は震度観測点で計測されたもので、厳密には住宅ごとに震度が異なる。どのエリアでどの程度の地震が発生したのかが分かる利点は地域風土の知識が重要な地場工務店として大きなメリットだ。
 現在の住宅業界で工務店は付加価値提案を強みとしていくフェーズに突入しているが、同時に人手不足の影響でアフターケアが困難になっているところも少なくない。
 同社は「地震後にどの建主が点検を検討しているかも見える化できる。地震後に工務店が来てくれなかったという建主の声も聞くが、実際に全てを確認できない工務店の事情もある。こうしたネックが解決できる商品だ」と胸を張った。
 こうした商品が開発できたのは数々の構造躯体で試験を行ってきた金物メーカーだからこそ。4年前から構想を練ってきた。
 家コネクトは工務店の展開する住宅商品の付加価値となり、アフターケアの負担軽減にもつながるだろう。今後の住宅業界への展開に期待したい。

【日本住宅新聞11月15日号より一部抜粋】

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