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働き方改革を推進 中小企業も工程管理システムを使って労働時間を削減

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 建設業における罰則付き時間外労働上限規制が昨年4月に適用され、これまで以上に働き方改革の推進が求められることとなり、建設業の一層の効率化と生産性向上が急務となっている。一方、建設現場においては、効率的な工事が必ずしも実施されていないなどの課題がある。
 これらの背景を踏まえ、国土交通省では、効率的な建設工事の実施に向けた課題を実践的に解決するため、モデル事業者を公募により採択し、モデル事業として効率的な建設工事の促進に向けた取り組みを行い、その成果をまとめた事例集を作成したことを3月24日に公表した。
 同事例集では、ⓐ工事施工におけるICT機器やデジタルデータの利活用等により、現場作業の生産性向上を図る取り組み「現場ICT」、ⓑ建設ディレクターの活用や外注業者への業務委託により、現場での書類作成や写真整理等にかかる業務負担の平準化を図る取り組み「機能配置」、ⓒ現場外に作業場としてのスペースや現場場内に重機等を駐車できるスペースを確保することにより、現場作業の効率化を図る取り組み「スペース確保」、ⓓ工程管理システムや原価管理システム等の導入により、バックオフィス業務の効率化を図る取り組み「BO系システム」――の4つのカテゴリーで分類し、30事例を掲載している。
 このうち、「BO系システム」の1つとして紹介されているのが、㈱マツザワ瓦店(愛知県名古屋市)が行った「住宅修繕工事における工事情報共有システム活用による労働時間の削減を図る取り組み」。同社は従業員7人(2025年1月時点)の企業で、住宅や商業施設の屋根工事・外壁工事、太陽光パネルの設置工事を主に実施する。今回のモデル事業で行ったのは、元請1件・下請7件の新築またはリフォームの屋根工事・外壁工事等。実施時期は、2024年11月20日~12月12日(各工事は2週間~1カ月程度)となっている。
 同社は、①「工事部門と協力会社との非効率な連携による無駄な作業やミスの発生」、②「営業部門と工事部門との情報共有の煩雑さによる受注件数の伸び悩み」――の2つの課題に対して改善を図った。
 同社ではまず、工程管理システム「建スケ」を営業部門と協力会社にも情報共有できるよう、システムのカスタマイズを実施。そして、営業部門・工事部門は各工事情報、工程、図面、写真等を「建スケ」へアップロードし、協力会社は各工事情報を閲覧・確認を実施した。さらに、工事部門は「建スケ」上に表示されるバーチャートを用いて協力会社の手配や工程調整を行い、営業部門は「建スケ」上に表示されるバーチャートをもとに適切な受注管理を行った。
 これらに取り組むことで、同社の営業部門では、個人の一般顧客からの依頼に対し、施工可能な日程を工事部門に問い合わせることなく即座に回答することができるようになり、問合せから回答までの確認の時間が削減。工事部門では、工事工程を作成するために社員および協力会社の予定を確認しながら進める必要があるが、電話やメール等での確認作業がなくなった。また、協力会社も作業が可能な日程を自ら調整することが可能となり、社内、協力会社共に効率的な工程作成を可能とした。
 その結果、同社従業員・各協力会社職長の労働時間は、一人あたり約20~30時間/月の削減に至った。さらに、1日平均2時間程度現場に常駐する必要がなくなり、リモートワーク・フレックスタイム導入等の働き方改革も実現。その他、書類の保管が不要となり、事務所において3㎡のスペースリフレッシュも達成した。

【日本住宅新聞2025年4月5日号より一部抜粋】

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