㈱タカミヤ(大阪市) 「眠る足場」を再生へ 資源循環と効率経営を両立

足場資材で建築業界の課題解決を目指す㈱タカミヤ(大阪市)は、建築業界の資源循環と環境負荷低減を目的に、4月15日から「サステナブルプロジェクト」を開始した。
これは建築現場で不要となった未稼働の足場資材の回収を行い、次世代足場「Iqシステム」として再生する取り組み。ただし、一部条件がある。足場の回収・リサイクルに協力した工務店には「サステナポイント」を付与する。このポイントは建築足場資材の運用代行サービス「OPE-MANE」などの利用に充当できる。環境貢献と工務店の経済的メリットを両立できる仕組みだ。
OPE-MANEは足場材を同社の施設に預け、その保管、管理、整備、流通を委託できるサービスの名称。これにより工務店は、保管場所や整備人員の確保が不要となる。
同社は「足場の約半数が未使用状態」としており、業界内に使われていない足場が大量に眠っている現状を示唆した。こうした足場が存在している一方、業界のどこかでは再び新たな足場が生産されている。存在している足場の量と供給が釣り合っていない現状が考えられる。背景には足場の規格が統一されていない理由などもある。
こうした現状に終止符を打つため、工務店から回収・再生した足場はタカミヤが一括で管理する。保管場所は全国29拠点に構え、全国の各工務店が必要な時に引き出し・返却できるメリットがある。所有からシェアにシフトすることで、資源の無駄が生じづらくなる狙いがある。また、こうした仕組みの構築はガソリン代が高騰する昨今において強みがある。現場から近い拠点から足場を手配すれば良いため、輸送費削減にもつながるためだ。
次世代足場「Iqシステム」は一部を電炉材で製造する。CO2排出量が高炉で製造した場合と比べて約4分の1に抑えられる特長がある。また、一般的な足場に比べて作業スペースが広い。階高は190cm、作業支柱間隔は110cmと余裕があり、多くの職人が腰を曲げることなく作業できる。また、段差や隙間がなく、解体時の安全性を高める「抜け止め」なども備えているため、労働環境の改善にもつながる足場だ。
近年、省エネ法や建築基準法の改正により、工務店は設計・施工段階での対応が複雑化し、日々の業務負担が増している。こうした中でタカミヤは足場資材のイノベーションで工務店の課題解決につなげる構えだ。
【日本住宅新聞2025年5月25日号より一部抜粋】