エコキュート累計1000万台突破 DRで再エネ最大限活用

(一社)日本冷凍空調工業会と(一財)ヒートポンプ・蓄熱センター、電気事業連合会は、家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機「エコキュート」の国内累計出荷台数が3月末現在で1000万台を突破したことを記念し、5月15日に東京都内で記念式典を開催した。
冒頭、ヒートポンプ・蓄熱センターの小宮山宏理事長が挨拶した。我が国で使われるエネルギーの多くが化石資源に由来している中、「カーボンニュートラルの実現にはこれらを脱炭素化していくことが不可欠」としたうえで、ヒートポンプ技術が「(その)キーテクノロジーであることは疑いの余地がない」と切り出した。さらに、「時間変動のある再生可能エネルギーの有効利用に資する」メリットも重要であると補足した。
再生可能エネルギーの活用で注目される太陽電池の発電量は天候に左右される。晴れであれば発電効率が良くなり、雨や曇りであれば晴れと比較して悪くなる。このように時間によって発電効率に変動がある再エネの電力を有効活用する上で、電力の需給バランスを調整するディマンド・リスポンス(DR)が注目されている。
小宮山理事長は太陽電池が普及している九州地域の事例を引き合いに「発電量が需要を上回る時間帯には太陽電池の発電を抑制するという状況が頻発している」と指摘。こうした中「そのような時間帯にエコキュートを動かしてお湯を沸かすことで、太陽電池を最大限活用できる」とエコキュートによって再エネ電力が有効活用できる可能性についても言及した。
エコキュートは2001年に発売が開始され、2007年9月に100万台、2016年3月に500万台を突破、そして今回の1000万台達成に至った。
2050年カーボンニュートラル実現のためには、約3650万台までの普及拡大が必要とされている。エコキュートのさらなる普及が、日本の脱炭素社会の実現と再生可能エネルギーの有効活用に向けた重要な一歩となることが期待される。
【日本住宅新聞2025年5月25日号より一部抜粋】
画像:念式典当日の様子、当日は約500名が来場した。